男:終わりを告げてこそ拍手をもらえるような恋をしていた。君もそうやって泣くのなら、いっそ僕と一緒にいよう。引き止めてもみたが、彼女はテーブルの上にネックレスを置いて本当に去ってしまった。心ゆくまで語り合えなかった恋だったからだろうか、男のポケットにはそのネックレスと、まだ手放せずにいる心が重く残っている。しかし、男が生きる世界は、別れたからといって一週間も泣き続けていられる場所ではない。公演を企画・監督する仕事をしている男は、済州島でのフェスティバル運営のために出張へ向かう。女:出版社でエディターとして、中華圏の読者のための韓国ガイドブックを作っている。改訂版の準備のための済州島出張、到着した済州空港の前で一人の男を見かけた。4歳の子供とその母親にいいように振り回されても、一言も怒れず自分の頭をかきむしる男。すらりとした外見もそうだが、恥ずかしそうに照れているその表情が気に入って、なぜか一人で笑いがこみ上げた。誰にも知られず、男の代わりに小さくて可愛い復讐までしてあげた。なんだか気持ちの良い出張になりそうだ。しかしその夜、女は携帯電話を盗まれてしまう。いや、私の予感が外れたのか、今回の出張はずっと険しいものになるのだろうか?ところが、盗難届を出しに行った警察署で、空港で見かけたあの男と再会する。財布をなくしてホームレス同然になっている男。二人は警察署で紹介された「バラ民宿」に泊まることになる。